メッセージ

2021.7.8

「期待が高まるDER活用の促進」

幹事 石井 英雄
(早稲田大学 研究院教授 / スマート社会技術融合研究機構 事務局長)

スマートレジリエンスネットワーク(SRN)が発足してから間もなく一年になりますが、この間、SRNの活動に深くかかわる政策の進展や事象が多々ありました。

昨年、2050年までのカーボンニュートラルが宣言され、先ごろこれに伴うグリーン成長戦略が示されました。14の産業分野に「次世代電力マネジメント産業」が位置づけられ、分散型エネルギーリソース(DER)の活用を促進することの重要性が打ち出されました。本年1月にはLNG不足に起因する需給逼迫が起こり、綱渡りの需給運用が行なわれる中、自家用発電機活用やディマンドリスポンス発動等、DERが危機回避の一翼を担いました。これを受けて、容量市場のDERの舞台となる発動指令電源について、調達上限を引き上げることが検討されています。

このように、DERは実績を積み上げながらその実力が認知されてきており、脱炭素、レジリエンス向上をはじめ、次世代のエネルギーシステムにおいて様々な価値を生む主体としての期待が確実に高まっています。

グリーン成長戦略でも述べられている通り、DER活用は技術だけでなく、その特性に応じた制度・市場の整備、活用の容易化が重要です。これを迅速に進めていくためには、DERの価値の提供者とその利用者、制度設計者が実データと経験に基づく対話を重ねていくことが重要です。

今年度からエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス・フォーラム(ERABフォーラム)との連携により、ERAB検討会を通じて課題を特定し、対応する審議会での議論に結び付けていく体制が整いました。会員の皆様と力を合わせ、SRNの活動をDERの一層の普及・活躍に繋げて参りたいと思います。皆様のご協力をお願いいたします。